【小説】公衆便所男⑫
年内には決着つけたいのでちょっとペース上げてきます!!
あと、お食事中の方はご遠慮下さいwww被害者がwwww
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などということを考えていたのだが、実際にトイレに入ってみると、それ程の悪臭は漂っていなかった。
清掃も行き届いている。洗面所に置かれている観葉植物も目に気持ち良い。常に公正かつ公平で、極めて客観的な判断を心掛けている私だが、パーキングエリアに対してだけは少しばかり偏見を抱いていたのかもしれない。
それにしても、パーキングエリアのトイレは無駄に天井が高い。床からの高さはゆうに5mを越すと思われる。天井には換気用と思われる巨大なファンがゴオオオという大きな音を立てて回っている。床には水が撒かれており、サンポールとは違う、業務用トイレット洗浄剤の臭いがした。
私は16ある大個室のうち、右奥から数えて3番目の個室に入った。
そこは洋式トイレであった。便器の細やかな部分にまで清掃が行き届いている。ウォシュレットも完備である。これが21世紀のパーキングエリアの実力なのか――道路公団もなかなか良い仕事をするではないか。私は嬉しくなった。
ところで洋式便所にはよく、便座殺菌・洗浄用の薬液が設置されているが、あれを使用する者は本当に存在するのだろうか?いても少数派だと私は考えている。少なくとも私は使用したことが無い。便器を拭いた薬液が、尻に付着するのがイヤなのである。どう考えても皮膚に悪そうだ。 いくら他人の尻と間接的に接触するのがイヤだと言っても、尻から感染する伝染病など存在しまい。明らかに薬液で尻がかぶれるリスクの方が高い筈である。あの薬液の存在は現代人の潔癖すぎる気質を象徴しているような気がする。
とは言えその気持ちが理解できないわけではない。他人の尻と間接キッスをするのは確かに気分が悪い。この便座はどんな汚い尻を受け入れ続けてきたのだろうと考え始めると、悪寒が走るのもまた事実である。この点に関しては和式便器の方が優れている気がする。和式便器であれば、間接ケツキッスのリスクからは完全に開放された排便タイムを堪能することができる。もっとも和式便器は、便器からウンコがはみ出すリスクが高いという致命的な欠点を抱えている。だから和式と洋式、どちらが優れているとは断言できない。唯一確かなことは、和式便器と洋式便器の間には、厳格なトレードオフの関係が存在しているという事であろう。
このような高尚な思索に耽りながらズボンを下ろし、ブリーフを下げて
便座に着席すると、最早おなじみとなったあの台詞が目に飛び込んできた。
「Hello山下参上だよおおおおん♪捕まえられるモンなら捕まえてみな!!!」
もう私は驚かない。もしかするとHello山下は、今この瞬間も私の近くにいて、私を観察しているのかもしれないが、あえて私は奴の姿を探さなかった。用心深いあの男の事だ。こんな場所で尻尾を掴ませるようなヘマをする筈はないであろう。
Hello山下よ。ここまで来たのだから約束の場所――私たちのヴァルハラ――伊豆半島で堂々と対峙しようではないか。私は一切の小細工を抜きに、ただ一路伊豆を目指す。貴様は極めてずる賢く用心深い。ネコの如きしたたかさとネズミの如し小心さを兼ね備えた男だ。私は獲物を狙うハンターの心持ちで君を追いかけている。
Hello山下よ。私にとって君は「獲物」だ。君はハントの対象以外の何物でもないのだ。君は私を欺き、この世界のどこかでほくそ笑んでいるのだろうが、そうしていられるのも今の内だけだ。私は必ず君を追い詰める。ゆっくりと、確実に、君の周りに敷いた包囲網の幅を狭めていく。君は後悔することになるだろう――私という男を本気にさせた事を。
Hello山下よ、今や私は君に感謝さえしているのだ。君は私の燻った魂に薪をくべ、再び燃え上がらせてくれた。私は今、情熱のプロミネンスを燃え上がらせる太陽だ。この様な高揚感を味わうのは久々である。その礼と言っては何だが、たっぷりとお灸を据えてやろう。君が、人生の蹉跌を知らぬ青臭い学生であろうが、ワインを覚えたてのシュガー社員であろうがそんなことはどうだっていい。待っていろ、今に社会の厳しさを嫌と言うほど味あわせてやる。
――――Hello山下、もうすぐ君は私のものだ――――
などという事を考えていたら、興奮のあまりウンコが直腸を逆流し、十二指腸の奥深くまで引っ込んでしまった。そう言えばここ一週間、ウンコらしいウンコをした記憶が無い。
(続く) 文責:魔王源
